河口龍夫展

行かねばと思いつつなかなか行けなかった、兵庫県立美術館での展覧会を見てきました。
同時開催で名古屋市美でもやってます。

この作家をまとまった形でみたのは初めてでした。
展示された中で気に入ったのは「DARK-BOX」が置いてある部屋です。
そこには「闇」を閉じ込めた金属製の箱が等間隔で整然と並んでいます。
照明は少し暗めで、全室の明かりが煌々とした所からやって来るとスタティックな印象を受けます。
箱は一番古いのが1997年のもので3000年のものもありました。
後者はまだ、闇を封じ込めておらず、箱を締めるねじが横においてあります。
なのでキャプション中に素材として闇が記してあったのは完成した2007年までの分で、
それ以降のものには記されてませんでした。
近い将来の分はそのうち完成するでしょうが、果たして3000年と書かれた箱は無事「DARK‐BOX]となることが出来るのでしょうか?
仮に美術館などに収蔵され、1000年後に誰かが完成させるとして、闇は新しいのに箱は1000年ものの古色を帯びたものというのは面白いと思います。
そしてキャプションには素材に闇が加えられ、制作年が3000年とかかれることになるのです。
単に時間のスケールが大きいというだけでなく、そういった時間の齟齬がこの作品の魅力だと感じました。